Al’s Bar / アルズバー (Los Angeles, CA, USA)
更新日:2022年6月9日
<閉店>
ロサンゼルス ダウンタウンの南にあったライブハウス。ニルバーナが演奏したこともある。90年代に入り、グランジ、アンダーグラウンドロック系ライブハウスとして人気があることを耳にし訪れた。

80年代から90年代にかけてのロサンゼルスダウンダウンは危険な話で溢れていた。旅行者の間では、「行ってはいけない場所」として有名なのがダウンタウンの東側だった。リトル東京の南へは行ってはいけないという忠告を耳にし、グレイハウンドバスターミナル(*)周辺を歩いていると、浮浪者に殴られるとか、襲われるというような噂を耳にした。貧乏旅行者にとって必要不可欠だったグレイハウンドバスを使う若者にとっては、深刻な問題だった。そういう私も、グレイハウンドバスを使ってロサンゼルスに入ったが、サンフランシスコから夜行バスで朝到着する便を選択し、到着後は周辺を徘徊せず、ダウンタウンの中心に向かって歩いた。
私がアルズバー/Al's Barを訪れたのは1996年。そこは倉庫街で分かりにくい場所にあり、かつ、雰囲気の良くない場所ということもあって、昼間に場所を確認した。しかしながら、それでも場所はわかりにくかった。
よく見ると、浮浪者っぽい人の姿も目に入り、夜に来るかどうか悩んだものだが、LA Weekly の ”Rock & POP ” の最初に掲載される Al’s Bar の紹介の言葉から、行かないという選択肢がある訳もなく、危険を覚悟の上で訪れた。

ロサンゼルスのライブハウスは、演奏が始まるのが21時過ぎというのが普通なので、21時過ぎに訪れた。周辺は暗く、車を駐車する場所を探した。街灯もあるのかないのか分からない場所で、車に被害が及ばなそうな場所を選ぶのに時間を費やした。場所を決めて車を止めると早足で”アルズバー”へ歩いた。途中、人と会わないことを祈りながら----。入口には屈強なセキュリティーの男が待っていたが、扉はまだ閉まっていて、その男は「まだ早いよ、演奏は22時からだ、もう少しあとに来な」と言われ、一旦引き返し22時過ぎに戻ってくると扉が開いていた。店の前に人はいなかった。ボディーチェックを受け、IDを見せ、手の甲にスタンプを押された。
入口の扉は細長かった。中に入ると右手にカウンターバー、左のスペースにビリヤード台があり、男がプレーしていた。カウンターでビールを頼み店内を散策した。「洗練された」とは程遠い、SF 映画の場末的な場所を想起させるような雰囲気。場末的と言えば聞こえはいいが、人によっては「汚い」で片付けられてしまうかもしれない。ニューヨークのシービージービー/CBGBに近いかもしれない。サンセットストリップにある、ロキシー/The Roxy や ウィスキー・ア・ゴーゴー/Whisky a Go Go とは異なる類の場所ということだけは確かだ。
